Something New ~日本語教師アシスタント奮闘記~ その15 - オーストラリアの特派員コラム

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Something New ~日本語教師アシスタント奮闘記~ その15

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2月6日水曜日。
学校出勤、三日目に突入...。

ふわふわした気持ちは若干薄れ、やっとこさ、つま先ぐらいは地に付いた状態だ。
少しずつ、学校の様子も見えてきた。




日本語を受講する生徒に限ってはおよそ7割ぐらいは白人系の子供たちだが、その他はアジア系が多いようだ。アジアはアジアでも幅広く、中国系、フィリピン系、インド系、スリランカ系…など多種多様だ。さすが移民の国だけはある。
お兄さんやお姉さんが勉強しているからと、弟や妹も日本語をというパターンが多い。例えば9年生のアンドリューのお姉さんが、11年生のペニーだといった具合だ。
なかなか子供たちの名前を覚えることができなかったが、そのうち顔と名前が一致するようになった。それを手助けしてくれたのが出欠確認だ。
ユミさんの計らいで、最初は子供たちの名前を覚えるために、名簿で出欠を取ることが自分の役目になった...。

自分が「くん」,「さん」付けで彼らを呼ぶと、日本語で「はい」と云って質問するときと同じく手をグーにして人差し指を突き上げ、挙手してくれる(中指でなくてよかった...)。その光景は非常に微笑ましい。

この日、新展開な出来事があった。

留学生の受け入れや自分みたいなアシスタント・ボランティアのコーディネーターをしているメアリー・ノーブル先生(国語(英語)教師)の勧めで、他国から来た留学生のための英語の授業に参加させてもらうことになった。
もちろん、ボクの英語力アップのためである。
そのクラスはモニカという先生が担当で11年生のクラスだ。
善意とご厚意で授業に参加させてくれたのはいいけど、一週間、自分が授業を受けるか、教えるかで時間割がすべて埋まってしまった。
まともに講義を受けるのは大学以来。しかも高校生の中に混じって英語を勉強するのはちと気恥ずかしいが...。
乗っていた船から大海原に投げ出された心境でどこまで役に立つか未知数だが、ここは前向きに考えよう。


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授業終了後、帰宅したのもつかの間ボクは荷物を置くなり、汗のしみこんだシャツとYシャツを脱ぎ捨て、すぐ外出することにした。
少しウキウキだ。なぜなら保護者(アイリーン)付きでない本格的な外出は初めてだからだ。バードゲージからやっと出て羽を伸ばせるかもしれない。
ダーウィンハイではスラックスにYシャツと暑苦しい格好から、バミューダの短パンに下はバミューダと超カジュアルな格好に着替えたものの外に出ると暑いのは変わりはない。日差しの痛さに戸惑いながら、のんびりした街並みを抜けボクはこれまたのんびりしたダウンタウンへと向かった。
目的は、オーストラリアの銀行で口座を開くこと。そして、日本から持ち込んだお金を預金したいためだ。
ボクはダウンタウンのモール入り口にあるウェスト・パックという銀行に決めた。前もってケヴィンに「銀行口座を開くなら、どの銀行がいいか?」と訊ねたら、「ウェスト・パックがベストだよ」という回答を受けた結果なのだ。
国際免許証、パスポート、クレジットカードそれと虎の子の現金(日本円)を持っていった。国際免許証、パスポート、クレジットカードのうち最低ふたつはないと外国人が口座を開くことができないそうだ。自分のつたない英語だが、窓口のお姉さんはちゃんと訊いてくれたようでなんなく口座はオープンできてしまった。英語が通じてしまったよ。ひとつやふたつトラブルが発生するかと思いきや拍子抜けだ。(ないに越したことはないのだが...)キャッシュカードは後日送られてくるという...。



GOは強?

気を良くしたボクはあたりをぶらつくことにした。まったく調子がいいもんだ。アイリーンは午後はテニスに行くというし、食事も勝手にすることになっている。
自由だ。自由だ。ああ、オレは自由だ。
ダウンタウンの端、モールの端とはいえ、土産物屋が立ち並ぶモールは閑散としていた。本当に街の中心なのかと疑いたくなる。曲がりなりにもここは準州の州都だぜ。
大通りに出るためにボクはモールの横道を抜け、ここも閑散としたミッチェル・ストリートという通りを横切ろうとした。
するとそこに、日本風の平屋の建物があった。中をのぞくと見慣れたレーンがある。なんとダーウィンに回転寿司が存在したのだ。
看板には英語で「GO SUSHI」と表記されている。GOは豪州(オーストラリア)の豪をもじったのかもしれない。
ボクは早速、足を踏み入れることにした。早めのディナーとしけこもうか...。
冷房が心地よい。店内は非常にきれいで清潔のようだ。シドニーで発見したチャイニーズ経営の回転寿司とは段違いだ。
レーンの前に並んだイスに腰掛けると、女性店主から声を掛けられた。アイリーンには負けるがちょいと太った日本人の女性店主だった。店主が日本人なら期待大だ。
ボクは自分の自己紹介をした。そして、レーンに回っている寿司を食べながら、女性店主の話を訊いた。ダーウィンにはけっこう長く暮らしているとのこと。この女性店主、貫禄はアイリーンとどっこいどっこいかもしれない。
板前さんも日本人のようで、味はしっかりしてうまい。あのチャイニーズ回転寿司とは味は段違いどころか天と地だ。しかし、一皿3ドル~4.5ドルと少々割高だった。海洋に囲まれた島国とはいえ、満足のいくネタを仕入れることを考えると仕方がないのか。それと、レーンの回転速度が日本のそれと若干速いのが気になった。
それにしても寿司好きの僕にとっては、またちょくちょくお邪魔することにしよう...。
シドニーの味の酷いあそこは、シドニーに再度訪れたとしても、もう行くまい。




GO SUSHIを出た。
ボクは大通りに出て家の方向に向かって歩いた。不慣れであるが、方向感覚はあるほうだ。
地元民というより、バックパッカーを背負った欧米人が歩道を行き交う。ダーウィンはディープな国立公園のメッカでハブの役割を担っている。だから、土着というより素通りに近いバックパッカーが多いのだ。
少しは道も盛り上がって垢抜けてきた。気分も高揚してきた。
少し歩いただけで、汗がどっと出て、Tシャツが肌にへばりつく。もうあそこに行くしかない。
目的はひとつ。ダーウィンのパブに入ることだ。
見回すとパブが多いこと、多いこと。呑んべえには堪らない。そのうちパブ巡りならぬハシゴ・パブもいいかもしれない。
さらに気を良くしたボクは手始めに、『Globe Trotters Bar & Lodge』というパブに入ることにした。看板のロゴが気に入ったからだ。ここは前回にも書いた『XXXX(フォーエックス)』主体のパブでアコモデーション(ホテル)も兼ねている。

ウッド調の薄暗い店内は空いていたが、日の高いうちから飲んでいるオヤジが多いこと、多いこと。
ここも冷房がギンギンに効いている中で飲むビールは最高なのだろう。奥には巨大スクリーンがあって音のない洋楽のPVが流れている。
ボクはテーブルには座らずにカウンターで立ち飲みすることにした。
「これをください」
ボクは『XXXX(フォーエックス)』のマークが入った金色のノズルを指差して、カウンター越しの店員に生ビールを注文した。
「OK」とばかりにコックをひねってグラスにビールを注いだ。
溢れんばかりになみなみと注がれたグラスの中の金色の液体の中でほとばしる炭酸が自分の喉を唸らせる。
「×△ドル」と店員は云うが聴き取れない。
しかも、まだ、オーストラリアドルに慣れていないボクは小銭を手のひらに載せて店員に取ってもらった。くどいようだがオーストラリアのパブはキャッシュ・オン・デリバリー方式だ。
値段にして2ドルちょっと。日本円にしておよそ200円で生ビールが飲めるなんてまさに天国だ。ビール一本,一缶の値段とたいして変わらない。
グラスの半分を一気に飲むと胃の中で炭酸の気泡が広がったのがわかる。
結局飲んだのは三杯。支払ったのはチャージもなしで500円ちょっとだった。

ひとりで来て物思いに耽ることができるパブを発見した喜びを胸に、日の落ちる前の時間だがほろ酔いで家路についた。




「Something New ~日本語教師アシスタント奮闘記~ その16」に続く。。。
(文・菅 雅壱)
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